「小学生民具案内」に行ってきました

【民具】
日常生活の必要のために製作,使用される用具の総称。使用する人々自身の手作りになる素朴なものから職人の製作したものまであるが,近代工業による大量生産されたものは民具とはいわない。
(出典:ブリタニカ国際大百科事典)

国立市の小学校3年生が全員受ける課外授業「小学生民具案内」。

くにたち郷土文化館とくにたちの暮らしを記録する会のみなさんが講師になって、徳川時代から昭和までの暮らしを、実物に触れて体験するとても貴重な機会です。

まずは灯りの体験から。
燭台、手燭、行灯、提灯、石油ランプ……「強盗提灯(龕灯)」なんてものもありました!

行灯やランプの説明をする学芸員さん

実際の明るさは……。
電気が無い時代にはこんな夜を過ごしていたんですね。

学芸員さんのレクチャーが終わったら、いよいよ実際に体験してみます。
もちろん、動力は全て人力!

・洗濯

洗濯

たらいと洗濯板を使って、ひたすら手でゴシゴシ!
波状の板にこすりつけることで、より汚れが落ちやすくなるんですね。

「干す前にパンパンと叩くと、早く乾くのよ」と、教えてくれる佐伯さん。

くにたちの暮らしを記録する会会長の佐伯さん

・石臼挽き

石臼(動画)

ずっしりした石も、心棒を握って回せば軽やかにグルグル。
できるだけ少ない力で、いかに効率良く作業を進めるか--
そんな知恵がさまざまな民具を生み出してきたんですね。

4種類の運搬方法も体験しました。

・野菜かご

野菜かご

収穫した野菜はこれに入れて運びました。

・もっこ

もっこ

2人なら、多少大きいものでも運べます。
ござと竹という、農家なら手に入りやすい素材を工夫して組み合わせたもの。

・背負い子

背負い子

二宮金次郎が背負っているあれ。
背中全体を使って荷物を支えるので、結構な量が運べます。
下まで伸びた棒は、かつぐ時やひと休みする時、荷物を支えてくれます。
ハケなど傾斜があるところでは短いものも使っていたそう。

・大八車

大八車

車もついているし、牛に曳かせれば米俵(60kg)だって運べます!

くにたち郷土文化館の企画展「むかしのくらし展」(3/11まで)
https://kuzaidan.or.jp/province/kikaku/%E3%82%80%E3%81%8B%E3%81%97%E3%81%AE%E3%81%8F%E3%82%89%E3%81%97%E5%B1%95/
を見学してから、グループに分かれて質問タイムです。

「昔はランドセルはあったんですか?」
「私たちの頃は風呂敷を使ってたの」

「家が木でできていても腐らなかったんですか?」
「日当たりや風通しが良くて、湿気の少ないところに建てるとか、自然に合わせる工夫をしてたんだ」
などなど……、活発なやりとりが。

手間と時間をかけて子供たちに”昔の暮らし”について伝える活動を続ける「くにたちの暮らしを記録する会」のみなさん。
「ボタンを押せばOKというのじゃなくて、『ここが動くからこうなる、だからこう使えばいいんだな』という”仕組み”を知って、ちゃんと考えられる人になって欲しい。そんな気持ちでこの授業を続けているんです」と佐伯さん。
ただのノスタルジーではない”生活の知恵”は、災害時やアウトドアなどで役に立つ日が絶対来るので、ぜひ覚えていて欲しいと思います。

国立市立第二小学校のみなさん、ありがとうございました。